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滅菌関連情報 PLASMA LINK | ASP Japan合同会社 〜2009年7月 Vol.16

Special Report
「病院機能評価Ver.6.0」が2009年7月1日受審分から適用“滅菌保証”がさらに重要視されます

社会医療法人 栄公会 法人本部 医療事業部長/医師 岡 伊津穂 先生

この記事のテーマ
  • 滅菌保証
  • 病院機能評価
[画像] 社会医療法人 栄公会 法人本部 医療事業部長/医師 岡 伊津穂 先生

1997年に認定審査を開始した日本医療機能評価機構は、今回改訂を実施し、新たな評価項目体系「Ver. 6.0」による訪問審査を2009年7月1日からスタートしました。今回の改訂では、受審する病院の負担を軽減するために、評価項目数を見直す一方で、医療の質の維持・改善を目的に、「滅菌業務」等に新たな項目を追加しています。その改訂内容について、病院機能評価機構に詳しい岡 伊津穂先生(社会医療法人 栄公会 法人本部 医療事業部長/医師)に伺いました。

評価項目数を見直し、受審病院の負担を軽減

医師・看護師等の人員不足や厳しい医療費政策など、病院を取り巻く環境は大きく変化しています。この変化に対応して受審する病院の負担を軽減することが、今回の改訂のひとつの目的であると岡先生は言います。

「Ver. 6.0では、基本的な枠組みは変わりませんが、従来約700あった評価項目を見直し、その数を3割ほど削減しました。これにより、さらに多くの病院に受審していただければと考えています」。

評価項目の中には、新たに導入されたものもあります。例えば、新医師臨床研修制度を受けて、該当病院の臨床研修機能に関する評価項目が追加されました。

また、地球環境への配慮、情報システム管理機能、子育て支援、院内暴力に対する組織的対応などの項目が加えられています。

洗浄・滅菌業務に関する評価項目(「病院機能評価 統合版評価項目V6.0」より)下位項目のうち下線付き文字で示されている項目は、これまでの審査を踏まえ機能評価を行う上で特に重視する項目であり、認定の可否に係る可能性のある項目です。

洗浄・滅菌業務に関する評価項目(「病院機能評価 統合版評価項目V6.0」より)
下位項目のうち下線付き文字で示されている項目は、これまでの審査を踏まえ機能評価を行う上で特に重視する項目であり、認定の可否に係る可能性のある項目です。

感染管理業務 全体のプロセスを重視

その他にも、感染管理の底上げを図るため、「洗浄・消毒・滅菌の業務は、医療の感染対策上、重要な位置を占めています。感染管理は医療施設の規模や病床数に関係なく、これらに関する知識や意識が組織に浸透していなければなりません」と岡先生。

「消毒も滅菌も、まず大事なのは洗浄です。汚いものをそのまま消毒や滅菌をしてもきれいにはなりません。そこで、洗浄・消毒・滅菌の過程すべてをマニュアル化し、適切な薬剤や器械を使い、適切な手順で行っているかを調査します。

例えば、厚生労働省の指針では、一次洗浄は現場で行わずに、中央材料室などで一括して行うことが望ましいとされていますが、やむを得ずそれぞれの部署で行う場合もあるでしょう。その場合は、働く人たちの安全や、医療の質が確保できているかを評価します」。

「滅菌保証」を重視 CI、BIを正しく使う

今回の改訂では、洗浄・滅菌業務において、「滅菌が保証されている」ことが特に重視する項目であり、認定の可否に係る可能性のある項目であると明記されました。機械的制御を監視・記録し、化学的インディケーター(CI)、生物学的インディケーター(BI)が正しく使われ、その結果をきちんと記録しているかが重要です。それでは、Ver. 6.0では具体的にどのような点を見ているのでしょうか。

「機械的制御の監視・記録については、機械自体がある程度モニタリングしているので大きな問題はありません。しかし、CIやBIは、人の手による日常管理なので、徹底できていない病院もあるようです。 よって、Ver. 6.0では、CIやBIが日常的にしっかりとモニタリングされているかが評価のポイントになっています。

岡 伊津穂 先生 写真

CIについては、外部用か内部用のどちらか一方だけを貼付している、内部用は時々しか挿入しないなど、様々なケースがありますが、包装外部用CIはすべての各包装の外部に貼付し、併せて、各包装内部に包装内部用CIを挿入する方法が望ましいですね。

また、BIにいたっては、まったく行っていない病院や部署もあります。最低限行うべきことを、今回の改訂では明記しました。今後は、BIによる確認を行っていなければ、『それすらもやっていない』という評価になります」。

日本医療機器学会(旧 医科器械学会)は「医療現場における滅菌保証のガイドライン 2005」を刊行しています。そのガイドラインでは、「過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌用BIは、少なくとも1日1回以上使用」することが推奨されています。実際には、各病院が、ガイドラインで推奨されている日常のモニタリングと管理を参考にして、自分たちのマニュアルを作り、感染管理にあたらなければなりません。また、器材払い出しについては、器材リコール(回収)の手順がマニュアル化されていれば、CIおよび機械制御の結果確認後で問題ありません。」器材リコールについては後述します。

主体的な姿勢で医療の質の維持・向上を

「中央材料室を訪問する際は、その他にも働きやすい環境かどうかも見ています。特にEOGやホルマリンなど、有毒ガスを扱う場合は安全性を確認します。

機能評価とは、改善している努力を評価するものですから、ただ「できません」というだけでは、改善する気がないと判断されてしまいます。たとえ100%の方法でなくても、これからはこう改善するという努力が示されることが大切です。

もう1つ大切なのは、リコール(回収)の際の対応です。万一、滅菌不良が疑われた場合に、適切にリコールできる体制が整っているかが評価されます。

病院機能評価は、試験ではありませんし、評価を受けることが目的ではありません。医療現場が認定期間中の質の維持・改善を図るためのものです。要するに、 PDCAサイクル(Plan〔計画〕→Do〔実行〕→Check〔検証〕→Action〔見直し〕)によるマネジメントで主体性を持って医療の質を維持・改善する姿勢が大切なのです」。

最後に岡先生は、今後の滅菌保証のあり方について語ってくださいました。

「これまでは、中央材料室を中心に洗浄・消毒・滅菌評価を行ってきましたが、今後は病院全体で機能を評価するようになります。病棟や外来、内視鏡室などでもどのように対応しているかが問われるのです。

質の高い洗浄・消毒・滅菌を提供するためには、そこで働く人全員が、根拠のあるマニュアルに則って、正しく行動することにぜひ力をいれてください。そのためにも、Ver. 6.0の評価項目だけは最低限実行しましょう。病院機能評価をきっかけとして洗浄・消毒・滅菌の底上げが図られることを祈っています」。